研究課題/領域番号 |
18KT0072
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
細井 徹 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (40379889)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス |
研究実績の概要 |
様々なストレス負荷に対して、生体は恒常性維持機構を作動させることでホメオスタシスを一定に保とうとする。しかし、生体がこれらのストレス負荷に対応できなくなり、恒常性が維持できなくなった時、病気の発症に至る。したがって、この様なストレスによる生体の応答機構を解明することで、病気の発症機構を明らかにすることができると考えられる。しかし、ストレス要因も多岐にわたり、生理応答も複雑であるがゆえに、その発症機序の解明は難航しているのが現状と考えられる。そこで本研究では、生体のストレス応答に共通に関わり、ストレス応答に根源的役割を担う「小胞体」に着目することで、複雑な要因によって発症する様々な病気の発症機序を解明し、病気の発症を事前に検知することを目指すことを目的とした。小胞体ストレスによって細胞外へ発せられる小胞体ストレスシグナル分泌システムについては不明な点が多く残されている。そこで今回、小胞体ストレスにより細胞外に分泌される因子の同定を試み、小胞体ストレスを検知すること目指した。検討の結果、細胞から細胞外に分泌されるエクソソームには、小胞体ストレス関連遺伝子であるスプライスド型のXBP1 mRNAが含まれる可能性が示された。IRE1の過剰発現によって惹起したスプライスド型のXBP1 mRNAもエクソソームに取り込まれる可能性が示された。したがって、スプライスド型のXBP1のような小胞体ストレス関連因子はエクソソームに取り込まれ、ストレス応答に関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた計画と予想通りの結果が得られたため、順調に進んだと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外に分泌されるエクソソームに小胞体ストレス応答因子が含まれていたことより、小胞体ストレス応答因子が細胞外に分泌されることを示す1つの証拠となり得るエビデンスが得られたと考えている。本検討結果をもとに、さらに小胞体ストレス応答シグナル解析を進め、小胞体ストレス検知システムの解明を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬等の購入時期が若干ずれたため次年度使用額が生じた。研究計画に大きな変更や遅れもなく、次年度も引き続き、計画通り研究を実施する予定である。
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