研究課題
本年度も、性同一性障害のカウンセリング(面接)について分析を進めるのに、かつて東京のAメンタルクリニックにおいて収集した、臨床心理士ならびに精神科医と患者の面談の分析を進めた。一昨年度、「カウンセリング、あるいは面談で使われている『ふつう』という言葉が、精神科医と患者の双方においてどのように用いられているかを分析することで、患者が、前に自分の言ったことを覆してまでも、自分のしていることを正確に言うという活動をしていたことが明らかになり、先行研究が言っているより面接が柔軟であることがわかった」という成果を出したことに関連して、今年度に引き続き、「ふつう」という発話がなされている場面のデータコレクション作成を行った。昨年度は、最初にふつうという言葉の使われているところをピックアップしてコレクションを作った後、患者のセクシュアリティに関して、ヘテロノーマティヴィティを含意して「ふつう」と言っているケースを集め、別にコレクションを作って、分析を開始した。本年度もこれを継続したが、確定的な分析結果を打ち出すためには、もう少しもとのコレクションを作りこむことで、会話の構成のされ方の検討を進めることにした。そのため目下、コレクションを作りこんでいるところである。具体的には、「ふつう」という発話のすべての個所をピックアップしてあったが、その個所をすべて詳細にトランスクライブし、分析しなおし、データセッションを繰り返している。それによって、コレクションの中から、特にジェンダーに関する知見を出していく。
4: 遅れている
取り扱っているデータがプライバシーを多分に含んでいたことから、オンラインでのデータセッションはひかえており、コロナウイルス感染症の拡大が下火になったところで、データセッションを再開した。しかし、第二波、第三波と、拡大がおさまらずに、なかなかデータセッションが困難だった。そのため、全体の進捗は遅れている。
すでにある65ケースのデータを見直すことに再び戻り、すべての「ふつう」という発話がなされている箇所の分析を進めるため、データのコレクションを作りこむ。鶴田と黒島は、互いにデータをトランスクライブして、匿名化した後、オンラインでデータセッションを行い、音声を聞く際には、おのおので繰り返し聞くことする。それによって、オンラインでのデータセッション、あるいは議論を可能にし、研究を進められるようにする。
コロナウイルス感染拡大により、進捗が遅くなっているため。
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Social Interaction: Video-Based Studies of Human Sociality,
巻: vol. 3, no. 1. ページ: n/a
10.7146/si.v3i1.120251