研究課題/領域番号 |
18KT0083
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
児玉 謙太郎 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (20734411)
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研究分担者 |
牧野 遼作 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (10780637)
安田 和弘 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 次席研究員(研究院講師) (50633640)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | リハビリテーション / コミュニケーション / マルチモーダルインタラクション / 個人間協調 / 共在性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、実環境でのリハビリテーション(以下、リハビリと略記)において共在性に基づく患者-セラピスト間の身体協調が運動支援に及ぼす効果を解明することで、時空間の共有過程と運動機能回復の関係を明らかにすることである。研究の背景には、近年、医療リハビリ分野でコミュニケーションの重要性が認識されている一方、現状のVR・遠隔技術では、実環境と異なり、適切に時空間が共有されないことによる課題が残されている状況がある。 そこで、本研究では、リハビリ場面における患者とセラピスト間のコミュニケーション(とくに身体協調)が運動機能の回復にもたらす効果を、臨床における縦断的フィールド観察と、実験的手法により検証する。 当該年度では、フィールド(実際の病院でのリハビリの現場)にて患者-セラピスト間での言語的・身体的コミュニケーションの記録(ビデオデータ)、行動の計測(センサデータ)を実施し、それらデータに対し質的分析・量的分析を実行することを計画していた。しかし、倫理的・技術的な問題から、センサ機器の導入、及び、それらセンサデータに対する量的分析は行えなかった。 そのため、当該年度の実績としては、ビデオデータに基づいた質的分析の結果を国内外の研究会、学会で発表し、成果を残した。研究結果の概要としては、40分ほどのリハビリ場面の観察を通し、セラピストが患者の身体と環境との力学的なインタラクションや能動的な触知覚を利用し臨床的な評価・治療を行っていること、オノマトペを用いたり動き方の見本を視覚的に提示したりすることにより非言語的に情報の表現・伝達を行っていること、言語的な働きかけにより患者の心理的・精神的な側面にも働きかけていることなどが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、実際のリハビリ現場のフィールドデータを収集し、目標データ数にも達することができた為、おおむね順調に進展していると評価した。ただ、当初の計画にあったセンサ機器を用いた量的データの計測・分析は、倫理的・技術的な問題から実現しなかった。しかし、技術的にはセンサの開発が完了した為、倫理的に問題のない対象者をリクルートし、次年度に少数事例データでもセンサデータを取得する計画である。現在、センサ機器のソフトウェアとの調節、および、実験協力者のリクルートを行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に得られたデータの分析結果から、仮説を生成し、次年度では実験を計画して、仮説検証を行う予定である。具体的には、高齢者を対象に介入実験を計画し、介入(訓練)前後で姿勢や歩行の機能を定量評価し、共在性の効果となる要因を実験的に検証する計画である。また、当該年度に達成できなかった、センサ機器を用いたフィールドデータの取得も行う予定である。その際、必要に応じて、共同研究者と連携・協力しながら、協力者のリクルート、データの収集・分析などを分担しながら進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
センサ機器を導入したフィールドデータの収集に関して、当該年度内では倫理的・技術的な問題から、達成できなかったため、センサ機器の開発・購入に関する予算が残った為、次年度の使用額が生じた。次年度は、この予算によるセンサ機器を用いた事例データの取得を行う計画である。
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