研究課題/領域番号 |
18KT0087
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50463881)
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研究分担者 |
深野 祐也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70713535)
郭 威 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70745455)
小山 明日香 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90812462)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 雑草 / 作物栽培 |
研究実績の概要 |
農業において畑に生えている雑草を除去することは、農作物を育成するために重要な作業である。しかし広大な農地の雑草を人手で除草することは非常にコストがかかる。除草剤は有効な除草手段であるが金銭的・人的コストがかかると同時に農作物・地域の生物多様性へのへの悪影響もあるため、ドローンをはじめとしたICTを利用した効率的な農薬散布が求められている。ICTを利用して雑草のみに除草剤を散布するためには、カメラで取得した画像を基に農作物と雑草を自動で識別する必要がある。そこで本研究ではディープラーニング(畳み込みニューラルネットワーク)を使って、雑草の画像の自動で識別するためのモデルを構築した。 実験室で11種類の雑草の栽培し、撮影、アノテーションを行った。合計で、11574の雑草の画像データを取得した。このデータをもとに様々なデータセットを構築し、10種類のモデルを実装した。解析の結果、まず、種ごとのトレーニングデータ数にばらつきのあるデータセットよりもデータ数が統一されており、分類に適した写真を選別した方が、精度が高いということが判明した。モデルを評価した結果、雑草種の識別システムに関しては、生育ステージによって精度が変化することが分かった。また、種レベルの識別よりも、データセットを科レベルに落とし込んでモデル化した場合に識別の精度が高くなった。識別の精度は平均して90%程度であるが、テストデータへの適合度が著しく低くなる場合もある。現在、モデルの中身を精査しこの原因を調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な雑草に関して、大量の画像情報を取得できた点が非常に大きな前進である。ディープラーニング(畳み込みニューラルネットワーク)を使って、雑草画像から種を自動で識別するためのモデル構築に取り掛かっている。テストデータへの適合度が著しく低くなる場合もあるものの、識別の精度は平均して90%程度のところまで来ている。残りの研究期間で現在のモデルの中身を精査しこの原因を突き止めて修正することは十分に可能である。同時に、より複雑な条件、すなわち野草群集の種多様性に関する画像情報も取得を進めており、画像解析手法を検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
農耕地の主要雑草の識別・同定に関する画像解析のモデル構築について、識別の精度を現在のレベル(90%程度)から、より高く安定したレベルに改善を進め、実用化可能なものとする予定である。同時に、さらに様々な雑草の画像データを大量取得を進めていく。野草群集の種多様性に関する画像解析手法についても検討を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
農耕地における雑草種、あるいは野草群集における植物種の自動識別と同定には、これらの画像情報の大量取得が主要なボトルネックとなることが判明した。更に困難なことは、これらの画像情報について、植物専門家による画像の精査(アノテーション)が必要となる。すなわち、人海戦術が避けられない部分であり、多くの労力と時間を費やすことになる。このため、今後、謝金等を用いて、画像大量取得と画像のアノテーション作業を迅速に進めていく。
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