研究課題/領域番号 |
18KT0093
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平坂 勝也 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 准教授 (70432747)
|
研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
|
キーワード | 時計遺伝子 / 脂質代謝酵素 / 筋肉 |
研究実績の概要 |
時間栄養学(栄養学を時間生物学の立場から扱う)に着目した魚類筋内脂肪量の調節が可能となるかどうかを証明するために、以下の解析を行った。 (1)明期・暗期給餌による筋内脂肪蓄積の違い(明期・暗期給餌による筋内脂肪蓄積の観察):明暗周期を明期12時間、暗期12時間としたゼブラフィッシュに、150cal/匹/日(高カロリー食)の餌を1日に1回、明期(明期給餌群)と暗期(暗期給餌群)にそれぞれ2か月間与え、体長、体重変動の測定及び肥満度を測定した。2ヶ月間の給餌実験で、標準体長には明期・暗期群に大きな差は認められなかったが、2ヶ月目の体重と肥満度において、暗期群が明期群と比べ高い値を示した。 (2)筋内時計遺伝子による概日リズムの発振機構(筋内脂質関連酵素の時計遺伝子による発現調節機構):ゼブラフィッシュ筋内では正の制御因子であるBmal1とClockのmRNA発現量が明期開始時であるZT2時間目に他の時間帯と比較し低値を示した。これらの発現量は明期の終わりまで増加傾向であり、暗期開始前のZT10時間目に最も高い発現量を示した。その後、暗期の終わりまで減少傾向を示した。これに対し、負の制御因子であるPer2とCryでは、ZT2時間目においてそれぞれ最大の値を示した。Cryの発現量はZT14が最も発現量が低く、その後やや増加した。Per2の発現量は暗期期間を通して低値を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明期・暗期給餌による体重・肥満度の違いが得られ、ゼブラフィッシュ筋内において、時計遺伝子の発振が認められた。計画通りに研究が進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)明期・暗期給餌による筋内脂肪蓄積の違い b.明期・暗期給餌による筋内脂質関連酵素の発現解析:前述した2か月間の高カロリー明期給餌群と暗期給餌群の筋肉からmRNAを抽出し、real-time PCRを用いて、筋内脂質関連酵素の発現量を解析する。 (2)筋内時計遺伝子による概日リズムの発振機構 c. 筋内脂質関連酵素の時計遺伝子による発現調節機構:筋内時計遺伝子による概日リズムの発振機構を確認するために、筋内脂質関連酵素の上流プロモーター領域の発現ベクターと、我々が所有する時計遺伝子(Clock, Bmal1)を培養細胞へ共発現し、ルシフェラーゼアッセイによりリアルタイムに脂質関連遺伝子の発振性(日周性が確認されるかどうかをin vitroで解析する)を解析する。 (3)養殖魚への応用 d.魚類筋内時計遺伝子及び脂質関連酵素の発振性解析
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文校閲と論文投稿のための予算を当初計画していたが、データのとりまとめが間に合わなかった。実施予定だった論文投稿を次年度に行うため、データのとりまとめを行い、論文校閲と論文投稿を行う予定である。
|