研究課題
時間栄養学(栄養学を時間生物学の立場から扱う)に着目した魚類筋内脂肪量の調節が可能となるかどうか解析を行った。明暗周期を明期12時間、暗期12時間としたゼブラフィッシュに、59%タンパク質、14%脂質、0.2%炭水化物の餌を1日に1回、明期(明期給餌群)と暗期(暗期給餌群)にそれぞれ2ヶ月間与え、体長、体重変動の測定及び肥満度を測定した。2ヶ月間の給餌実験で、標準体長は暗期群が明期群に比べ小さく、体重は暗期群が明期群よりやや高値であった。BMI(体格指数)は暗期群が明期群よりも有意に高値を示した。さらに、暗期群の筋肉において、LPL2の発現が明期群よりも給餌1ヶ月目から高値を示した。これに対して、脂質合成に関与する遺伝子群は2ヶ月の暗期群で明期群よりも有意に低い値であった。興味深いことに、成長因子であるIGFの発現は暗期群で低値であった。これらのことより、暗期給餌は筋内脂質代謝を活性化させ脂肪蓄積に関与する可能性が示唆された。また、暗期給餌は魚類成長にも大きく寄与することが分かってきた。
2: おおむね順調に進展している
明期・暗期給餌による体重・肥満度の違い及び脂質代謝酵素の挙動が得られた。計画通りに研究が進行している。
(1)明期・暗期給餌による筋内脂肪蓄積の違い:前述した2ヶ月間の明期給餌群と暗期給餌群の筋肉組織切片を作成し、組織学的解析を行う。(2)筋内時計遺伝子による概日リズムの発振機構:筋内時計遺伝子による概日リズムの発振機構を確認するために、筋内脂質関連酵素の上流プロモーター領域の発現ベクターと、我々が所有する時計遺伝子(Clock, Bmal1)を培養細胞へ共発現し、ルシフェラーゼアッセイによりリアルタイムに脂質関連遺伝子の発振性(日周性が確認されるかどうか)を解析する。(3)養殖魚への応用:魚類筋内時計遺伝子及び脂質関連酵素の発振性解析を行う。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)
Fisheries Science
巻: 86(1) ページ: 187-196
10.1007/s12562-019-01374-4
Journal of Texture Studies
巻: 50 ページ: 325~331
10.1111/jtxs.12397
巻: 85(6) ページ: 1099-1107
10.1007/s12562-019-01356-6
https://ahs-mn.localinfo.jp/