研究課題/領域番号 |
18KT0094
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 教授 (60411576)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | クロロフィル / バイオマス / 太陽光 / リグニン |
研究実績の概要 |
地球上に存在するバイオマスのうち、豊富に存在しながら利用があまり進んでいない木質・草木バイオマスの利活用は、バイオマス研究分野における重要課題のひとつであると考えられる。そこで、本研究ではそのような木質・草木バイオマスのうち、リグニンの主なターゲットとしている。リグニンのバイオマスとしての利活用が進んでいない大きな理由のひとつとして、リグニンの難分解性が挙げられ、リグニンを環境低負荷型プロセスで分解する方法論の開発が望まれている。そこで本研究では、同じく未利用バイオマスの一種である植物緑葉部や藻類に含まれるクロロフィル類を活用した、太陽光による環境低負荷型リグニン分解を目指した研究を推進している。本年度は、複数種の光合成生物から単離した天然クロロフィル類を用いて誘導体化を前年度に引き続いて行い、テトラピロール環の共役系やテトラピロール環に直結する置換基、テトラピロール環の中心に配位する中心金属を変化させ、吸収可能な波長領域や電子物性への影響に関する知見を得た。あわせて、クロロフィル類の分子構造改変を行うときの化学反応性に関する研究も推進した。また、得られたクロロフィル誘導体の可視光励起による一重項酸素発生効率を測定した。さらに、合成したクロロフィル誘導体の磁気ビーズへの固定化を実施し、得られた複合体の可視光励起による一重項酸素発生効率やバイオマス分解への適用、ならびに反応溶液からの回収法に関して研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
天然クロロフィル類の誘導体化やそれらの化学反応性解析、ならびに得られた誘導体の物性解析を進めるともに、これらの誘導体の可視光励起による活性酸素種の発生効率の解析とバイオマス分解への適用を進めることができた。また、これらのクロロフィル誘導体の磁気ビーズへの固定化による反応溶液からの回収実験を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
クロロフィル類のさらなる誘導体化と物性解析を進め、その結果を分子設計にフィードバックすることで可視光励起による活性酸素種発生の高効率化をはかる。また、クロロフィル誘導体によるリグニンやそのモデル化合物の可視光分解挙動の解析を引き続き推進する。あわせて、バイオマス分解物からのクロロフィル誘導体の回収法に関する研究も引き続き推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行の影響によって、研究実施規模の縮小と、発表予定の学会中止やオンラインでの学会発表実施のため、当初計画よりも使用額が減少し次年度使用額が生じた。令和3年度は、研究実施のための物品購入や研究成果発表のための支出を計画している。
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