研究課題/領域番号 |
18KT0097
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山本 祐輔 静岡大学, 情報学部, 講師 (50625431)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 批判的情報探索 / ヒューマンファクター |
研究実績の概要 |
H31年/R元年度は,ウェブページを見ているときに,機械学習技術を駆使して言葉を濁した表現を自動検出し,読み手に注意を促すWeasel Finder(いたち表現ファインダー)を開発した.不正確なウェブ情報の取得を防ぐには,ユーザがウェブコンテンツ中の誤った情報や紛らわしい情報の存在を認識し,注意深いウェブ探索の必要性を認識することも重要である.ユーザ実験を通じて,Weasel Finderによって言葉を濁した表現をハイライトすることで,注意深いウェブ探索が促進されることが確認された.
また,ウェブ検索結果ランキングにおいて,ユーザごとに最適化された検索結果とそうでない検索結果を可視化することでフィルターバブルの影響を低減させるシステムPersonalization Finder を開発した.特に政治や経済のトピックに関して,既存のウェブ検索エンジンは,個人の好みにあわせて提示する検索結果の内容を調整している.政治・経済トピックは先入観をなくして情報を閲覧しなければ,偏った意見を助長する恐れがある.Personalization Finderによって,フィルターバブルを意識しながら,批判的な情報閲覧行動が促進されることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H31年度/R元年度は,研究計画のうち,信憑性判断力強化のための内省インタフェース,批判的な情報検索・閲覧を誘発するナッジを利用した情報インタラクションに該当する内容に取り組んだ.それぞれの項目に関する研究成果は,国際会議WISE 2019,JCDL2020に採録されたこともあり,着実に研究プロジェクトが実施されていると考える.また,JCDL2020で採録された内容は,申請時に想定していたウェブ情報の信憑性問題だけでなく,「信じたい情報を信じてしまう」というPost Truth時代における批判的情報探索の問題の解決を目指したものであり,当初の計画以上の内容に研究が発展できたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も,研究計画書に記した「信憑性判断力強化のための内省インタフェース」「批判的な情報検索・閲覧を誘発するナッジを利用した情報インタラクション」について,改善・改良を行う予定である.また,プロジェクト完了に向けて,これまでの成果を学術論文誌に発表する予定である.
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