研究課題/領域番号 |
18KT0100
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
藤代 裕之 法政大学, 社会学部, 教授 (30403687)
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研究分担者 |
小笠原 盛浩 東洋大学, 社会学部, 教授 (00511958)
松下 光範 関西大学, 総合情報学部, 教授 (50396123)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 情報トリアージ / ソーシャルメディア / 災害情報 / 情報の信頼性 / 救助情報 |
研究実績の概要 |
これまでの研究では,2018年西日本豪雨のデータを利用し,玉石混交のソーシャルメディアのデータから見つけ出すことが難しかった「救助要請」を高い確率で見つけることに成功していた。2020(令和2)年度は,発生した令和2年7月豪雨のデータ収集を行い,このデータを対象にこれまでの研究の有効性を検証した。検証の結果,高い確率で「救助要請」ツイートを検出することができた。また,ツイートにはニュースサイトへのリンクを含む投稿が多くあることも明らかになった。これらの成果は,第14回 テキストアナリティクス・シンポジウムで「救助要請ツイートの特徴の検証 ~ 令和2年7月豪雨を対象に ~」とのタイトルで発表した。 災害の救助に関連するツイートには,NHKや新聞社のニュースサイトによる災害情報のリンクが多く含まれていることは,昨年度の研究でも明らかになっており,「救助要請」ではないツイートを削除することにより,「救助要請」の検出確率が高まるということである。そこで,ツイートから「救助要請」や「被害情報」に無関係な投稿を取り除くための研究に取り組んだ。ニュース報道は災害に欠かすことができないが,自治体や支援団体が「救助要請」や「被害情報」を把握するという視点からはノイズと考えられる。特にテレビは影響力が大きいだけに,ツイートにも多くのノイズを発生させることになる。そこで,令和2年7月豪雨のデータに対し,画像解析の手法を用いて画像の分類とツイート傾向を合わせて分析した。その結果,「避難」や「救助」に関するツイートに,ゲームの画像が多く含まれていたことが分かった。また,詳細な分類を行うことで,負担軽減につながる可能性が示唆された。この研究成果は,人工知能学会全国大会や第13回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソーシャルメディアデータの解析は,令和2年7月豪雨のデータを収集できたことで進捗しているが,新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより,予定していた災害NPOや自治体などを対象にしたヒアリング調査を実施することができなかった。そのため,ヒアリング調査に基づいたソーシャルメディア情報に対する信頼性の評価尺度の定義に取り組みを行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,令和2年7月豪雨のデータなどこれまで収集したソーシャルメディアデータの分析を進めるとともに,災害NPOや自治体などを対象にしたヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア情報に対する信頼性の評価尺度の定義に取り組みを行うことを予定している。ただし,新型コロナウイルス感染症次第では,ヒアリング調査が難しいことがあり得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより,予定していた災害NPOや自治体などを対象にしたヒアリング調査を実施することができなかったため。2021年度は,令和2年7月豪雨のデータなどこれまで収集したソーシャルメディアデータの分析を進めるとともに,災害NPOや自治体などを対象にしたヒアリング調査を行い,ソーシャルメディア情報に対する信頼性の評価尺度の定義に取り組む計画である。ただし,新型コロナウイルス感染症次第では,ヒアリング調査が難しいことがあり得る。
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