研究実績の概要 |
2021(令和3)年度は,これまで取り組んできた情報トリアージに活用するための災害時の「救助要請」ツイート検出に向けた研究に加え,新たに災害時の「避難」ツイートに対する分析に取り組んだ. 「救助要請」ツイート検出については,2020(令和2)年7月豪雨のツイートを分析し,「救助要請」ツイートの中に,NHKや新聞社などのニュースサイトの災害報道のリンクが多く含まれており,これらのツイートを削除することで「救助要請」の検出確率が高まることを明らかにした。2021年度は,引き続きツイートから「救助要請」や「被害情報」に無関係な投稿を取り除くための研究に取り組んだ. 前述の研究では,災害時にはNHKや新聞社などのニュースサイトの災害報道が多くツイートされていることを明らかにしたが,人々がどのような情報接触をきっかけに避難したのかを調査した研究によるとツイートから情報を得ている人は少ないとの指摘が行われていた.このことに着目して,新たに災害時の「避難」ツイートに対する分析を行った.2021年に発生した豪雨時と台風時の「避難」を含むツイートを収集し,どのような内容,アカウントのツイートが人々の関心を集めているのかを確認したところ,メディアや自治体が避難を呼びかける公式ツイートは関心を集めておらず,気象予報士やNPOなどの専門的知識を持つアカウントのツイートが関心を集めていた.「避難」を呼びかけるツイートが多くの関心をあつめるためには,人々の情報欲求に合わせて,適切なタイミングで投稿する必要があることを明らかにした.この研究成果は,ARG 第17回Webインテリジェンスとインタラクション研究会,情報処理学会 第84回全国大会で発表した。
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