研究課題/領域番号 |
19001002
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷村 克己 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00135328)
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研究分担者 |
那須 奎一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (90114595)
吉田 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30133929)
金崎 順一 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80204535)
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00264086)
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90362631)
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キーワード | 光誘起構造相転移 / フェムト秒時間分解分光 / 時間分解電子線回折 / 走査型トンネル顕微鏡 / 励起状態第一原理分子動力学 / 励起状態動力学 / RFフォトカソード / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
本年度は、本研究最大の課題の一つである、世界最高性能を有する超高速時間分解電子回折装置の完成という大きな成果を挙げるとともに、以下に述べる重要な成果を達成した。 まず、完成した超高速時間分解電子回折装置は、時間分解能90fsを有し、サブミクロンの厚さの種々の試料に対して極めて鮮明な透過電子回折パターンを得るに十分な良好なビーム特性を有しており、更に試作した検出器は極めて感度が高く、単一パルスでの検出も実現可能である。このタイプの装置としては世界最高性能を示し、現在これを駆使した精力的な実験を推進している。 第二に、グラファイトの光誘起相転移によってのみ発生する第三の炭素凝縮相Daiaphiteの発見という昨年度の成果に立脚し、励起波長を可視~紫外領域の広い範囲に拡張して体系的な相転移効率に関する実験的知見を得るとともに、理論的研究によって、初期条件敏感性および生成効率の非線形性のミクロな起源、更には、層間結合発生の動力学を解明した。また、走査型トンネル顕微鏡像に対する第一原理計算手法に基づく解明を進め、Daiaphiteの電子状態に対する明確な知見を獲得した。これらは既にPhysical Review誌に発表済みもしくは投稿中である。 第三に、構造相転移を誘起する励起状態の超高速緩和過程を、フェムト秒可視赤外分光法、フェムト秒2光子光電子分光法を駆使して研究を展開し、(1)高密度励起下で発生する電子・正孔プラズマ状態の検出とその動特性の解明、(2)運動量とエネルギーの二次元光電子検出装置の性能向上によって、高密度励起下での電子系および正孔系の状態変化の直接的観察と動特性の解明、を達成した。これらは、現在論文執筆中である。 以上のように、全分担者の協力によって本研究は予想以上に順調に進行しており、来年度以降もより多くの画期的先進的成果を達成すべく研究を推進する。
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