| 研究分担者 |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (50169728)
櫻井 研三 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40183818)
杉田 陽一 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40221311)
岩谷 幸雄 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10250896)
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| 研究概要 |
本研究では,高度なマルチモーダル情報提示システムの実現のために,マルチモーダル情報の時空間統合処理過程の解明を目指している。本年度は,次の項目に関して検討した。
(1)高さの異なる二音を繰り返し提示しそれと同期して移動する視覚刺激を繰り返し見続けると,その後に同じ二種の音刺激と静止視覚刺激が提示された際に,二種の音に対応した視覚刺激の動きが知覚される聴覚随伴性視覚運動残効(sound contingent visual motion aftereffect:SCVA)という現象を世界で初めて発見した。マルチモーダル感覚情報の統合処理がこれまで考えられていた以上に極めて初期段階で,かつ,短時間で行われることを示す有力な結果である。
(2)顔と声から異なる情動情報が表出される際に,日本人は声からの印象に,オランダ人は顔からの印象に強く影響されることが明らかとなった。迫真性,臨場感,自然性といった高次感性情報の知覚メカニズムを明らかにする上で,どのような感覚情報が支配的に作用するのかを直接明らかにしており,本研究プロジェクトの最終目標である迫真性,臨場感,自然性のモデル化につながる重要な知見である。
(3)バーチャル音空間を聴取者の頭部運動を反映させて提示する際に,頭部運動の方向さえ正しく反映させていれば,提示された音空間を正しく知覚できることが明らかとなった。この研究で得られた知見は,音空間知覚において頭部運動情報と聴覚情報のタグ付けに用いられるパラメータを直接明らかにする重要なものである。
これら以外にも,自己運動中に知覚される音空間の歪みに関する検討や,迫真性,臨場感,自然性の規定因に関する研究を進め,また,本研究プロジェクトの最終目標である,迫真性,臨場感,自然性といった高次感性情報の創出を可能とするマルチメデイア時空間提示システムの設計指針の構築を進めている。
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