研究課題/領域番号 |
19001005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 精治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70163409)
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研究分担者 |
河野 日出夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00273574)
田中 孝治 (独)産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (40357439)
春田 正毅 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10357824)
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キーワード | 白金触媒 / 金触媒 / 金属ナノ粒子 / 担体効果 / サイズ効果 / CO酸化 |
研究概要 |
環境制御型透過電子顕微鏡(ETEM)による観察をもとに、触媒化学的、計算科学的手法を交えて、気体中における金属ナノ粒子/担体触媒の活性のメカニズムの解明を目指している。本研究を進める上で、触媒の調製は極めて重要である。本年度は、CeO_2を担体として、含浸法、析出沈殿法、固相混合法の3つの方法を用いて、様々な平均粒子径で白金と金をナノ粒子にして分散・固定することに成功した。30℃でのCO酸化触媒活性の金属粒子径依存性を求めたところ、粒子径が小さくなると白金では低下、金では増加と対照的な挙動を示した。また、高分解能TEM観察から、触媒調製法の違いにより金属ナノ粒子の接合構造が異なることも明らかになった。特にPt/CeO_2触媒について高分解能TEM観察、HAADF-STEM観察およびTEM像計算によって、Pt-CeO_2の界面での原子層間の距離や白金微粒子の立体形状を評価した。さらに、上記試料を含む様々な触媒を、従来型のETEMで観察したところ、ガス種に依存した金属ナノ粒子の系統的な形状変化を捉えることに成功した。一方、Au/TiO_2触媒について、金ロッド/TiO_2の接合モデルを基に、第一原理計算によって、ロッドのエッジ部分の原子・電子構造の特長を解析した。その結果、エッジにある金原子と担体表面の酸素原子との弱い結合が触媒活性に寄与する可能性が示唆され、今後、酸素の挙動の解明が重要であることを示した。さらに、本年度は、本研究課題において必須の球面収差を補正したETEMの開発に成功した。稼働を開始した本ETEMには、従来、我々が開発してきた高分解能環境セル技術が移植されており、1000Paの窒素中で0.12nmという従来にはない情報伝達限界を達成できた。この他に、気体種の迅速な切り替え、ガス、および試料の元素分析も可能である。従来型のETEMによる系統的な準備観察を基にして、新型ETEMにより、触媒活性のメカニズム解明に必要な気体中の金属ナノ粒子の表面や、金属ナノ粒子と担体の界面の原子スケール・その場観察が可能となった。
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