研究課題
特別推進研究
(1) 研究開始当初の背景金属ナノ粒子は、触媒科学、燃料電池などのエネルギー、環境、ナノテクノロジーに関わる分野において重要な材料の一つである。特に、酸化物に担持された金などの金属ナノ粒子が触媒として機能することは良く知られている。しかし、その触媒メカニズムは未解明である。本研究開始当初に、透過電子顕微鏡(以下、電顕)観察や計算科学的な検証が行われていたが、反応ガスを含まない系に限られており、実条件下での触媒特性を説明しているかどうかは疑問であった。従って、実際に触媒として機能している条件下での解析が必要であった。気体中の金属ナノ粒子を原子スケールでその場観察できる可能性のある計測装置は、電顕以外にはないが、気体圧力を十分に高めて、原子スケールで高分解能観察を実現させることはできなかった。(2) 研究の目的酸化物に担持された金属ナノ粒子が、気体中で触媒として機能している状態で原子スケールその場観察して、触媒化学的測定と考察、さらに第一原理計算による解析を加えることで、金属ナノ粒子の触媒メカニズムを原子構造的・電子構造的に解明する。触媒化学、電顕、第一原理計算の専門家が分担・連携して研究を推進する。○触媒化学:春田正毅(首都大学東京)他。○電顕:竹田精治、河野日出夫、市川聡(阪大)、秋田知樹、田中孝治(産総研)、大野裕(東北大)。○第一原理計算:香山正憲、田中真悟(産総研)。(3) 研究の方法(1) 研究対象とする触媒は、電顕観察が容易で、かつ触媒化学的に素性が明らかなものを特別に調製する。その場観察で得られる情報が実際に触媒として機能中のものであることを明らかにするために、触媒機能の触媒化学的測定も行なう。(2) 球面収差を補正した高分解能の環境制御型透過電子顕微鏡(ETEM)を導入して、触媒として機能中の金属ナノ粒子の表面および担体との接合界面を原子スケールでその場観察する。第一原理計算による解析と触媒化学的な考察を加えて、触媒作用の発現メカニズムを推定する。(3) さらに、金属ナノ粒子の基本的特性(反応分子の触媒表面での吸着挙動および反応動力学的解析)の解析を行い、触媒反応のメカニズムを解明する。
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Studies on Surface Science and Catalysis (in press)
Physical Review B 80
ページ: 155413-1-155413-10
Journal of Catalysis 267
ページ: 121-128