研究概要 |
本研究は2つの柱から成る。一つは、4π電磁カロリメータFORESTの建設とこれを用いたクォーク核物理研究の推進である。もう一つは、新たな4π電磁カロリメータBGOeggを建設することであり、これによってクォーク核物理研究の更なる推進を目指すものである。 FORESTは、既存のγ線検出器を全国から集めて一つの4π電磁カロリメータとして組み直したもので、核物理分野における本邦初の全立体角を覆うGeV領域γ線検出器を具現したものである。これを用いて、本研究の計画通りに震災前までに一定のデータが得られており、震災復興と並行してデータ解析が進められた。寄せ集めのγ線検出器を一つの電磁カロリメータとして用いる実験の解析には多大な労力と時間を要したが、ようやく色々な反応過程の物理データが得られるようになった。当初予定していたsingle η, single π0, π0η, ω 光生成反応チャンネルに加えて、π0π0, π+π0, π-π0チャンネルについてもデータが得られている。 BGOegg建設については、震災復旧作業の最中の平成23年7月にBGOクリスタルの装着を開始した。震災の瓦礫撤去と被災した加速器の一部撤去に伴う放射化物の仕分け作業などで疲弊する毎日の中で、BGOeggの建設再開はある種の希望をもたらした。そして1年以上の歳月を経て、1320本のBGOクリスタルの装着を完了した。その後12月には、筐体を含めて総重量約3トンのBGOeggをSPring-8に搬送し、LEPS2ビームラインに設置した。設置の約1ヶ月後には、LEPS2ビームラインのコミッショニングが行われたが、これに間に合わせるためにBGOegg300チャンネルに限定して配線が行われ、BGOeggによるπ0メソンの検出に成功した。
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