研究課題
本研究は、冷反水素原子を大量生成し、その基底状態における超微細分裂を高い分解能で測定して、これを水素原子と比較することで、自然界の最も基本的な対称性であるCPT対称性が保存しているか否かを実験的に決定することを目的とする。また、反水素イオンを生成し、これをレーザー冷却されたアルカリ土類イオンと混合することで生成される極低温の反水素イオンの陽電子剥離により得られる極低温反水素により、物質(地球)と反物質(反水素)間に働く重力の測定に向けた研究を開始する。当該年度は、本研究の主要装置であるカスプトラップに、低速反陽子と陽電子をそれぞれの蓄積器から輸送し、同時に安定に蓄積することに成功した。このような、不均一なカスプ磁場中において電荷符号の異なる荷電粒子群を同時蓄積した世界初の初めての実験となった。さらに、カスプ磁場中で反陽子と電子プラズマを混合することにより、反陽子が効率的に冷却されることを確認した。陽電子についても同様の実験を行った。高磁場中にある軽荷電粒子はシンクロトロン放射により冷却されるが、陽電子も安定に効率よく冷却されることを確認した。さらに、反陽子雲と陽電子プラズマの混合実験にも成功した。反陽子(反水素)消滅位置を決定するため、大型2次元検出器(1m×1m)をブレシア大と共同で開発設置し、これを4枚組み合わせることでトラック検出器とした。反陽子のトラップ位置がこれまでより数倍高い精度で決定できるようになった。スピン偏極反水素ビームの分析に必須である6重極超伝導電磁石を設計製作した。複雑な磁場分布を持ち、且つコンパクトな磁石とするため多くの技術困難があったが、いずれも克服され、これから本格化する反水素分光実験で主要な役割を果たすことになる(これは繰越予算により成就された。)。
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (8件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Physical Review letters 100
ページ: 203402(1-4)
Physical Review A (Rapid Communication) 77
ページ: 051403(1-4)
Physical Review Letters 101
ページ: 113201(1-4)
J.Phys.B 41
ページ: 011001(1-5)
Phys.Plasmas 15
ページ: 32107
Rev.Sci.Instrum. 79
ページ: 015112(1-4)
Nucl.Instrum.Methods B 266
ページ: 357-362
Phys.Rev.Lett. 100
ページ: 203401(1-5)
Phys.Rev.Lett. 101
ページ: 053401(1-4)
ページ: 212502(1-4)
〓 Conf.Proc. 1037
ページ: 311-317
http://radphys4.c.u-tokyo.ac.jp/
http://www-ap.riken.jp