1.新たにネオンモデレーターを用いる陽電子蓄積器を導入することにより、陽電子蓄積数を一桁増やすことに成功した。 2.このため、既に国内で開発済みであった陽電子のネオンモデレーター装置をCERNに搬送し、且つ、超伝導磁石中にある陽電子蓄積トラップを再設計し、稼働させることで上記の性能を実現した。 3.不均一磁場中に蓄積した陽電子の回転電場圧縮を、広い周波数、電場振幅についてサーベイし、ほぼ定常的に回転電場圧縮を可能とした。その結果、陽電子密度10^8/cm^3が達成された。 4.反陽子を陽電子に混合する方法の開発が冷反水素の合成に最も重要な技術開発事項であるとの認識の元、自動共鳴法による反陽子雲の内部温度を上げることなく、全体を加速する方法を開発するとともに、反陽子直接打ち込み法を高精度化することで、冷反水素の合成に成功した。 5.反水素合成モードにおいて、反陽子の高周波加熱法を新たに開発・導入し、そのパラメータを最適化することで、合成反水素数を大幅に増やし、且つ、反水素合成の長時間化に成功した。 6.反水素ビーム検出器をBGO単結晶板を用いることで実現し、大変高性能の反水素検出器を実現した。得られた結果は大変興味深いものであった。詳細はなお解析中である。 7.反水素スピン分析器を反水素合成装置、カスプトラップ、の下流に接続し、スピン分析器の下流への反水素ビーム引出に成功した。その際、上記7の反水素ビーム検出器が中心的な役割を演じた。
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