1.研究目的の一つである超重元素の化学研究のための基幹装置となるべき、気体充填型反跳分離装置GARIS-IIの設計・製作を行った。本装置によって、超重元素の大効率かつ迅速な分離が可能となり、低いバックグラウンドでの種々の計測が可能となる。 2.2004年から2005年にかけて2原子の合成が確認された113番新元素の同位体[113]-278の3原子目の合成を行うべく、Bi-209+Zn-70反応による融合実験を行った。目的とした原子の合成は確認できなかったが、融合蒸発断面積(核融合を起こし分裂をせずに生き残る確率)の統計的精度を向上させることができた。 3.平成19年度の科研費で購入したCm-248を標的として用い、Na-23をビームとして用いて、原子番号107の同位体Bh-266の合成実験を行い、複数個の原子を確認できた。この同位体は先に述べた[113]-278のα崩壊連鎖[113]-278→Rg(Z=111)-274→Mt(Z=109)-270→Bh-266→Db-262中に観測されたと考えられる同位体であり、113番新元素の原子番号と質量数の実験的な確証を得ることができ、新元素の命名権獲得への確実な進歩があった。
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