研究分担者 |
林 卓哉 信州大学, 工学部, 准教授 (80313831)
金 隆岩 信州大学, 工学部, 准教授 (70362100)
金 龍中 信州大学, 工学部, 准教授 (50402128)
小山 省三 信州大学, 医学部, 教授 (00115346)
羽二生 久夫 信州大学, 医学部, 助教 (30252050)
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研究概要 |
本研究は,二層(DW)および多層(MW)カーボンナノチューブ(CNT)の精緻な成長と構造の制御法開拓とその成長メカニズムの解明を中心に研究し,さらにCNTの安全性も含め,CNT科学と応用の飛躍的発展を目的としている。一年目の本年度は,次のように予定に沿った成果を得ることができた。すなわち(1)成長を制御して中空チューブ直径が1nmの極細DWNTを選択的に形成可能とし,この構造特異性を利用して内部にMo原子を1次元に並べて原子ワイヤーを形成することに成功。(2)電界効果トランジスタ(FET)特性の比較において,DWNTは双極子モーメントの影響により分散工程で用いる界面活性剤の影響がSWCNTより受け易く,FETの特性に大きく反映される。(3)Exohedralドーピングによる効果がDWNTのconfigurationによって異なることを理論計算とRaman分析を通して解明。(4)DWCNTへの硫酸ドーピング効果をSWCNTと比べて共鳴ラマン分析を利用し,光学特性を評価。(5)DWNTをフッ素化させ,ラマン分光,TEMによる分析を行い,外層のみが選択的にフッ素化され,それにより外層に起因するRBMの消失を確認。(6)DNAによってDWNTをラッピングし,特にCNT分散溶液のpHの低下と共に直径の大きいCNTを選択的に凝集分離でき,チューブ直径0.9nmのDWNTを選択的に高純度化し得ることを確認。(7)安全性評価は皮下埋没法を用いて異物に対する免疫関連細胞である全身血液中のT細胞やサイトカイン濃度により評価可能であり,MWNTはCBやアスベストに比べて,免疫学的にその毒性は低いことを示した。(8)CNTの金属触媒の残存に関して同様の免疫学的な検討を行い,鉄金属の含有量は20ppm以下がSafetyであることを導いた。これらの成果は多くの国際会議での基調講演,招待講演に反映され,当該分野の発展に寄与できた。
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