研究課題
本研究は、二層(DW)および多層(MW)カーボンナノチューブ(CNT)の精緻な成長と構造の制御法開拓とその成長メカニズムの解明を中心に研究し、さらにCNTの安全性も含め、CNT科学と応用の飛躍的発展を目的としている。三年目の本年度は、次のように予定に沿った成果を得ることができた。すなわち(1)熱処理により融合し直径の増大したSWNTやC60内包SWNTが、一般的なCCVD合成法で得られたCNTと同様にCNT特有の電子構造を有することを分光学の観点から明らかにした。(2)内層DWNTが同幾何学構造のSWNTと比較して蛍光特性に優れていることを光吸収分光および蛍光分光を用いて示した。(3)DNAを分散財に利用したDWNTから柔軟性を有するフィルムを作り、そのスーパーキャパシタとしての特性を評価した。(4)Peapodsから合成したDWNTを孤立分散させ、CVD合成のDWNTとの構造比較をRaman分光によって示した。(5)DWNTの内層と外層のカイラリティを収差補正TEMと画像解析により、カイラル角が±5°前後のものは層間が狭く、内外層の相互作用により制約を受けたと考えられた。(6)DWNTの水分子吸着特性分析から、疎水性カーボンのナノスペース中に、水吸着の証拠を見出し、さらに高温処理DWNTのウオータークラスターアクセシビリティの変化機構を解明した。(8)DWNTにC60を内包させたDWNT-Peapodを合成して熱処理を施すことにより初めて選択的に三層CNTの高純度合成に成功した。(9)CNT肺投与後、肺洗浄液(BAL)中の多核白血球、アルブミン、LDHを、時間経過を追って分析し、急性炎症、細胞傷害、組織変化の推移をCNT投与量や経過時間の関数でモニターし、肺における作用機序を明らかとした。これらの成果は多くの国際会議での基調講演、招待講演に反映され(計8回)、当該分野の発展に国際的レベルで寄与できた。
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