研究課題/領域番号 |
19002008
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
玉尾 皓平 独立行政法人理化学研究所, 基幹研究所, 基幹研究所長 (60026218)
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研究分担者 |
松尾 司 独立行政法人理化学研究所, 機能性有機元素化学特別研究ユニット, 副ユニットリーダー (90312800)
三成 剛生 独立行政法人理化学研究所, 物質・材料研究機構・国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (90443035)
田中 一義 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90155119)
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キーワード | 立体保護基 / 有機元素化合物 / ケイ素 / ジシレン / パイ共役電子系 / シリレン / ジボラン / オリゴチオフェン |
研究概要 |
平成22年度は、平成19~21年度に引き続き、独自に開発したヒドロインダセン骨格を有する縮環型立体保護基(Rind基)を用いて、高周期元素不飽和結合を構成単位とする新奇な有機元素化合物に関する研究を推進した。平面ひし形のケイ素四員環化合物「テトラシラシクロブタジエン」に関して、詳細な理論計算(結合次数、電荷分布、ビラジカル性)により電荷分離した電子構造を解明した。パラ位に長鎖アルコキシ基を有する第3世代のRind基を開発し、ベンゼン環とジシレンが交互に配列した高次オリゴマーを合成・単離して、共役の拡張と光物性について調査した。また、チオフェンやフランなどのヘテロ環が置換したパイ共役系ジシレン化合物を新たに合成し、分子構造や電子物性について明らかにした。ジブロモジシレンからブロモシリレンへの熱解離について調査し、ドナーが配位したブロモシリレンを合成・単離して分子構造を決定した。かさ高いRind基を2つゲルマニウム上に有する二価化学種ゲルミレンとアミンオキシドとの反応により、室温で安定なゲルマノンを合成・単離することに成功した。 また、平成22年度は、新奇なホウ素多重結合化学種「二重水素架橋ジボラン(4)」の中性子線構造解析を行い、架橋水素の位置を実験化学的に決定した。さらに、水素化ホウ素化合物の新展開として、ジボラン(6)ジアニオン、ジボラン(5)アニオンを合成し、ホウ素間の結合状態について実験化学と理論計算のインタープレイにより明らかにした。Rind基の炭素パイ電子系へのフィードバックとして、共平面性に優れたオリゴチオフェンを合成し、分子構造や光物性に関する基礎データを得た。Rind基の二官能性立体保護基としての展開として、空気や湿気に安定なモノチオベンゾキノンを合成し、平面性に優れたキノイド構造について明らかにした。
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