研究概要 |
サル用磁気共鳴画像装置における8チャネルパラレルイメージングシステムのテストを完了し動物を被験者とした計測の準備を進めている。サル用8チャネルRFコイルが納入されたが、感度調整や時間的安定性の最適化が必要であることも判明した。サルを被験者とするして大脳全体の大域的活動を要求する認知課題としての近時記憶課題および注意シフト課題の解析は順調に進捗している。サルのトレーニングは順調に完了し、前者の近時記憶課題においては1頭目のfMRI計測を終了し、前頭葉弓状溝下行枝や前頭補足眼野等幾つかの部位に記憶負荷に応じた活動の変化を見出した。現在2頭目の計測を進めている。後者の注意シフト課題では、頭頂葉7a野ニューロン群の活動がシフト時に次元に対して非対称的活動を起こすこと、更にこのニューロン活動がその4-5秒後におこる行動の成否を予測できることを発見し、論文発表した(Kamigaki et.al., Neuron 2009)。ヒトを被験者とした研究では、注意シフト課題、GO/NOGO課題およびSTROOP課題において大脳機能構築について新しい知見が得られた(Chikazoe et.al., Cerebral Cortex 2009 ; Jilnura et.al., Eur, J. Neurosci. in press ; Asari et.al., Cortex in press ; Morimoto et al., J. Cogn. Neurosci. 2008)。Lentivirus vectorによって大脳皮質内に遺伝子を過剰発現させる方法の開発は順調に進展しfeasibility studyを終了した。その結果、サルを用いた実験が可能であるとの結論に到達し、サル用P2実験室を作り、実験準備を進めている。
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