研究課題
PAF(血小板活性化因子)産生の責任酵素として2つのリゾホスファチジルコリンアシル転位酵素(LPCAT1,LPCAT2)を同定し、前者が恒常的に働くのに対し、後者は炎症誘導的に発現増強して活性化されることを明らかにした。また、この2つの酵素と配列的に近縁な遺伝子を網羅的に解析することでアシルCoAからリゾリン脂質に脂肪酸を転移させる酵素群を他にも見出し、こうした酵素群の働きで細胞内での膜脂質の生合成と代謝回転が進み、生体膜の多様性が生み出されることを発見した。ホスホリパーゼA2α欠損マウスで観察されている種々の表現型の分子機構を明らかにするため、下流分子の受容体欠損マウス(BLT1,BLT2,CysLT2,LPA4)を樹立し、その表現型解析を進めている。これら受容体の諸性質解析も並行して進め、これまでLTB4(ロイコトリエンB4)の低親和性受容体とされてきたLTB4第二受容体(BLT2)が、実はシクロオキシゲナーゼ産物のHHT(hydroxyheptadeca-5Z,8E,10E-trienoicacid)に対する高親和性受容体であることを発見した。また、脂質認識受容体ファミリーに分類されるオーファン受容体GPR20はリガンド非依存的に活性化状態にあり、Gi型G蛋白質を恒常的に活性化することで細胞内cAMPレベルの調節を担っている可能性を示唆した。さらに、病態時における各種脂質メディエーター産生の経時的変化を解明するため、液体クロマトグラフィー・質量分析計(LC-MS)を用いた脂質メディエーターの一斉定量系を構築し、30種類の脂質メディエーターを10数分で同時微量定量することを可能とした。現在、さらなる感度の向上を進めている。またこのシステムを駆使することで、各種遺伝子欠損マウスでアレルギー性脳脊髄膜炎などを発症させた際の病態進展各期における脂質メディエータープロファイリング(脂質メタボロミックス解析)を進めている。
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