研究課題
LPAAT3の高度不飽和脂肪酸供給としての役割:我々は新規にリゾホスファチジン酸(PA)アシル基転移酵素3(LPAAT3)を同定した。LPAAT3はAGPATファミリーに属するが、明確な機能はわかっていなかった。詳細にアシル基転移酵素活性を調べると、LPAAT3は20:4-CoAをドナーとしたLPAAT活性と、リゾホスファチジルイノシトール(PI)アシル基転移(LPIAT)活性を持っていた。LPAAT活性はケネディー経路で働く活性であり、LPIAT活性はランズ回路で活躍する活性である。LPAAT3は一つの酵素でありながら2種類の経路で働いていることになる。さらに、PAはPIの前駆体でもあるため、sn-2位にアラキドン酸を持つPIを効率よく合成できることになる。2)マウス発生期血管・リンパ管形成におけるLPA4の機能解析:リゾホスファチジン酸(LPA)は様々な生理活性を有する生理活性脂質であり、これまでに6種類の特異的G蛋白質共役型受容体(LPA1~6)が同定されている。我々は、LPA4欠損マウスを作製し、LPPA4の生体内における機能解析を行った。欠損雄マウスと交配した妊娠欠損雌マウスを開腹して観察すると、着床は正常だったが、その後の妊娠期の様々な時点で皮下出血・浮腫等の異常が一部の胎仔に認められた。致死となる胎仔も存在し、胎生18.5日(E18.5)での正常仔マウス数は、野生型マウスどうしを交配した時の約半分であった。E18.5における欠損マウスの内臓観察では、心嚢出血、胸腺出血等が観察されたことから、異常出血が胎生致死の一因と考えられた。一方、E18.5では心臓をはじめとする複数の臓器中の微小血管でLPA4特異的な発現が認められ、浮腫を示す欠損マウス胎仔では、様々な臓器でリンパ管拡張も認められた。故に、LPA4がマウス発生期における血管・リンパ管形成に重要な役割を担っていることが示唆された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (16件)
Neurosci.Lett.
巻: 488 ページ: 215-220
Nephrology
巻: 16 ページ: 304-309
Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.
巻: 31 ページ: 1133-1138
Respir.Res.
巻: 11 ページ: 49-49
PLoS One
巻: 5 ページ: e10467
FASEB J.
巻: 24 ページ: 4678-4690
J.Biol.Chem
巻: 285 ページ: 29857-29862
巻: 24 ページ: 4929-4938
Blood
巻: 116 ページ: 5060-5070
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.
巻: 107 ページ: 17309-17314