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2009 年度 実績報告書

イオン輸送体の構造生物学

研究課題

研究課題/領域番号 19002013
研究機関東京大学

研究代表者

豊島 近  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)

研究分担者 小川 治夫  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)
キーワードイオンポンプ / 膜蛋白質 / 結晶解析
研究概要

Na^+,K^+-ATPaseのE2・2K^+・MgF_4^<2->結晶の2.4Å分解能での構造解析に成功し,Nature誌に発表した。この結果,βサブユニットとFXYD蛋白質の構造的意味が明らかになった。また,ほとんど同じ残基が関与するにもかかわらず、Ca^<2+>-ATPaseではH^+しか対抗輸送できないのに対しNa^+,K^+-ATPaseは多くの-価陽イオンを輸送できることの理由も明らかになった。さらに、強心配糖体として有名なウアバインは,これまでの多くの説に反し,膜内に深く挿入され、膜貫通ヘリックスの一部分をほどくことも示した。この結晶で,ATPaseに結合したK+はTl+と置換され,サイトIIの方だけが早く置換されることをTl+の異常分散から明らかにし,サイトIIがfサイトであることを直接的に証明した。
Ca^<2+>-ATPaseに関しては、これまで不可能と考えていたE2状態の阻害剤なしの構造を決定でき,強力阻害剤thapsigarginが引き起こす構造変化は極めて小さいことがわかった。また,E2P状態からPiが離れる直前の構造と考えられるE2-SO_4^<2->結晶の構造を決定した。この結晶中の燐酸アナログの位置は,重金属ポンプのSO_4^<2->を含む結晶構造で報告されているものと同一であった。さらに,ATP結合部位の探索に広く使われるTNP誘導体とのE2状態での複合体の構造を決定したところ,ATPとは大きく異なった結合をすることが判明し,また状態によるTNP-AMPからの蛍光の差も説明することが出来た。
植物液胞膜由来のH^+ポンプであるPPaseに関しては,再現性良く結晶性を得ることが出来るようになった。現在重原子誘導体の探索を行っている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Crystal structure of the sodium-potassium pump(Na^+, K^+-ATPase)with bound potassium and ouabain2009

    • 著者名/発表者名
      H.Ogawa
    • 雑誌名

      Proc.Nat.Acad.Sci.USA 106

      ページ: 13742-13747

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nucleotide recognition by CopA, a Cu^+-transporting P-type ATPase2009

    • 著者名/発表者名
      T.Tsuda
    • 雑誌名

      EMBO J. 28

      ページ: 1782-1791

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Crystal structure of the sodium-potassium pump at 2.4Å resolution2009

    • 著者名/発表者名
      T.Shinoda
    • 雑誌名

      Nature 459

      ページ: 446-450

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reaction cycle of Thermotoga maritima copper ATPase and comformational characterization of catalytically deficient mutants2009

    • 著者名/発表者名
      Y.Hatori
    • 雑誌名

      Biochemistry 48

      ページ: 4871-4880

    • 査読あり
  • [雑誌論文] How Ca^<2+>-ATPase pumps ions across the sarcoplasmic reticulum membrane2009

    • 著者名/発表者名
      C.Toyoshima
    • 雑誌名

      Biochem.Biophys.Acta 1793

      ページ: 941-946

    • 査読あり
  • [学会発表] 放射光が明らかにするCa^<2+>ポンプのイオン輸送機構2010

    • 著者名/発表者名
      豊島近
    • 学会等名
      ノーベル化学賞記念シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-03-06
  • [学会発表] 結晶構造から見たCa^<2+>-ATPaseのイオン輸送・エネルギー変換機構2009

    • 著者名/発表者名
      豊島近
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会第35回討論会
    • 発表場所
      旭川
    • 年月日
      2009-12-19
  • [学会発表] Structural aspects of cation pumping by P-type ATPase2009

    • 著者名/発表者名
      豊島近
    • 学会等名
      XXXVI International Congress of Physiological Sciences
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2009-07-29
  • [備考]

    • URL

      http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/StrBiol/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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