研究概要 |
本研究はこれまでのウサギ骨格筋の筋小胞体カルシウムポンプ(Ca^<2+>-ATPase、SERCA1a)の構造解析とそれに基づく能動輸送機構の理解を発展させ、最終的には結核菌等の病原菌の膜輸送体の構造解析を行うことによって薬剤の開発へと結びつけることを目標とするものである。比較的手近にある具体的な課題として(1)筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseの残された中間体、特に内腔側ゲートが開いている唯一の状態と考えられるE2P基底状態(Ca^<2+>非存在下の燐酸化状態)の構造決定。(2)Ca^<2+>-ATPase変異体の構造解析、特にCa^<2+>が1個だけ結合した状態の構造決定を可能にすると考えられるE309Q/A変異体の解析。(3)Ca^<2+>-ATPase(変異体)と薬物複合体の構造決定、特に抗マラリア薬であるアルテミシニン或いはその派生物との複合体の構造決定。(4)生物学・医学的にはより重要ともいえるNa^+, K^+-ATPaseの構造決定。(5)Ca^<2+>-ATPaseとは大きく異なった構造を有する重金属ポンプの構造決定、特に銅イオンのポンプであるCopAの構造決定。(6)バクテリアのPII型ATPaseの構造決定。(7)植物液胞のH^+ポンプであるPPaseの構造決定、を提案した。
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