研究概要 |
第一の課題であるオートファジーの分子機構の解明については、大きな進展があった。一つはオートファゴソーム形成に関わるAtgタンパク質の集積する場であるPAS形成における、各因子間の関係に関する詳細な解析が進み、基部をなすオートファジーに特異的なAtg17-Atg29-Atg31複合体、Atg1キナーゼの役割を明らかにした。オートファジーに必須な2つのユビキチン様結合反応系に関するin vitro再構成系による解析を進め、Atg8-PEがリポソーム膜の繋ぎ止めと半融合活性を持つことを示すことに成功した。またAtg12-Atg5結合体がAtg8のPE化を促進するE3様の活性を持つことを明らかにした。 第二の課題であるオートファジーの多様性に関しても予想以上に新しい展開を見せており、今後の展開が期待できる。第一に酵母における構成的な分解系路として,非醗酵性炭素源で培養された酵母のしめす、選択的なタンパク質分解、液胞膜の陥入に伴う新規のミクロオーフォファジー系路による脂肪体(Lipid particle)の分解を解析し、新たな知見を得ることに成功した.それらの成果は現在投稿中、投稿準備中である。ミトコンドリアのオートファジーによる特異的な分解に関わる因子の網羅的な探索を進め、興味深い候補を得ることに成功した。 さらに北大稲垣研との共同研究により、植物の2つの結合反応系の再溝成系を確立するとともに、結合反応系の各因子の発現、構造決定に顕著な成果が見られた。Atg5/Atg16,Atg3,LC3-Atg4B複合体の構造が明らかとなった。
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