研究課題
過去の蓄積を活用し、最終年度に向けた本年度に得られた主な成果は以下の通りである。1.Atg12-Atg5のAtg8のPE化に働くE2酵素Atg3との相互作用に必須な残基の変異解析から、促進のメカニズムの理解が進んだ。2.高感度の顕微鏡システムにより、全てのAtgタンパク質のGFP、2xGFP融合ンパク質の構築を完了し、細胞内動態の網羅的な解析を開始した。3.膜タンパク質であるAtg9の大半はゴルジ体に由来する膜小胞上に存在し、それらが栄養増殖時には激しく細胞質中を動いていることが、明らかとなった。Atg9は飢餓条件下にはオートファゴソームの外膜に局在することが、形態学的、生化学的な解析から明らかとなった。Atg9小胞の精製が進み、その解析が進んだ。4.atg変異株は培養液のpHを上げることで生存率を維持できることが明らかになった。しかしこの時細胞はミトコンドリアの機能不全を引き起こし、全ての細胞がρ_0となる。ρ_0細胞はATG遺伝子の有無に関わらず飢餓条件下で生存率が低下する。長年の謎であったオートファジー不能変異株が示す、飢餓下に生存率が低下する原因が飢餓下に起こるミトコンドリアの不全によるROS発生に起因することが明らかとなった5.北大稲垣研との共同研究により、結合反応系に関わる因子の構造決定が完了した。さらにそれらの複合体の構造も、解くことができた。飢餓誘導の最も基部をなすAtg17-Atg29-Atg31複合体などは、構造解析に適した結晶が得られないので、耐熱性酵母のATG遺伝子候補遺伝子を検索しS.cerevisiaeの変異を相補性から、確かにそれらの大半がオートファジー遺伝子として機能していることが明らかとなった。これらのタンパク質はサイズが小さく安定であるので今後構造解析が期待される。
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PLoS ONE
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http://www.ohsumilab.aro.iri.titech.ac.jp/