研究概要 |
大気中宇宙線生成核種Be-7は、エアロゾルに付着して降下してくるため、大気中オゾン濃度とBe-7濃度の短時間変動の相関を調べることにより、オゾンを短時間分解能のエアロゾルモニターとして利用することが期待できる。オゾン濃度は約1分程度の時間分解能で測定できるため、オゾン濃度を使って短時間分解能を有するエアロゾル濃度変動モニターを開発して宇宙線飛跡の蛍光総量に対する測定精度の向上に貢献する。以下のように研究結果を得た。 1.紫外線吸収方式オゾン濃度計とパソコンを連結した大気中オゾン濃度の自動測定システムを作成し、種々のサンプリング時間により試験測定を行った。山形大学構内での1分間連続測定による平均濃度は26.1ppbであった。ちなみに160km離れた岩手県綾里でのデータとの変動パターンは似ている。日変化は夜間と昼間で明らかに違いがあり、その比は約1:3であった。エアロゾル捕集とオゾン濃度モニターを同期してBe-7濃度日変動を4日間試験測定を行った結果、0,85の高い相関係数が得られ、最大変動率はオゾンが0.42に対しBe-7が0.34と変動率も近い値を示した。これらの試験測定からオゾンをエアロゾルモニターとしての利用できることが分かった。 2.米国ユタ州TAサイト近辺においてBe-7濃度日変動の連続測定を実施した。夏にピークがある年変動を示しており、平均濃度は8.5mBq/m^3で変動率は最大で66%であった。
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