実施計画通り、4月にイタリアフィレンツェ大学においてLHCf2号機を完成させた。5月にCERNにおいてLHCトンネルへのインストール試験を実施し、周辺環境との干渉、本番での作業の効率化にむけて問題点を洗い出した。LHC運転後の高放射線環境下での作業の可能性があるため、少しでも作業時間を縮めるようにCERN担当者からの要望があった。8-9月にSPS加速器による性能試験を行い、装置が予定通りの性能で機能していることを確認した。データ収集システムに2006年の試験から改良を施し、LHCで用いるシステムの雛形とすることができた。年度初めの予定では年末にLHC加速器によって450GeV陽子衝突でのデータ収集を行うはずであったが、LHC加速器の遅れによれ実現しなかった。その分、11月に2度目のインストール試験を実施し、5月に判明した問題点を解決した。同時期に1号機との同時データ収集システムの開発を行った。2008年1-2月に、LHC加速器トンネル内に最終インストールを行い、その後、データ収集システムの改良を重ねた。実験場所を共有するATLAS実験との同時事象比較が行えるようにした。 LHC加速器の遅れがあったためデータ収集には至らなかったが、インストール方法の改善、データ収集システムの改良に十分な時間をかけ、20年度に実施される本実験にむけて周到な準備をすることができた。LHC加速器の運転を待つのみである。
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