研究概要 |
本研究では、2種類(i),(ii)の新物質開拓に挑戦した:(i)B,C,Nを基本構成元素とした、2次元ネットワーク幾何構造の一部に、d系列元素として、Ni,Co,Mnを組み込んだ新しい物質群の開拓。(i)に関しては、2次元ネットワークを有するボレート物質にCoおいびNiを導入した新物質を合成して、その磁性を研究した。その結果、反磁性相互作用を基本としたキャント強磁性の発現を確認した。(ii)Si、Geを基本構成要素とする、3次元多面体ネットワーク固体の多面体の内部にf系列元素としてEu,Ce、Gdを組み込んだ新しい物質群の開拓。H19年度に行った重要な研究は、これまで研究してきたSiおよびGeを構成要素とする軽元素多面体ネットワーク磁性体において、骨格にIII族元素(B,Al,Ga,In)を置換すると同時に、多面体クラスタ内部にd系列元素であるMnおよびf系列元素であるEuを内包した一連の磁性物質を合成して、その構造と磁性の関係を研究して、磁性が絡んだ新物質創製の可能性を探求したことである。これらの系では、III族元素の幾何学的な位置と濃度を制御することにより電子あるいはホール伝導系が精密に制御され、かつd,、f系列元素に由来した電子スピンとの相互作用を介して、多面体ネットワークの幾何学的構造の制約条件のもとに、興味深い物性が発現する事が期待される。この幾何学的な伝導電子一磁性電子相互作用の枠組みの中で、磁性に絡んだ新しい超伝導物質系を探究した。
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