研究課題/領域番号 |
19014012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮坂 茂樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70345106)
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研究分担者 |
田島 節子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70188241)
増井 孝彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10403099)
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キーワード | 低次元遷移金属化合物 / 量子臨界点 / オキソプニクタイト / 超伝導 / 電子間相互作用 / F置換効果 |
研究概要 |
本研究では、"低次元遷移金属化合物"、"量子臨界点近傍の新規異常物性"をキーワードとして、1次元、2次元遷移金属酸化物と化合物を対象に、化学的な見地から新規物質探索や元素置換効果による電子相制御を行い、量子臨界点近傍の新奇な現象を開拓することを目的としている。初年度は2元オキソプニクタイトLnOMP(Ln:希土類元素,M:遷移金属元素)の多結晶育成法を確立した。この物質系は伝導を担う2次元MP面を内包しており、M=Fe、Niでは超伝導が出現する。本研究では、LnOFeP、LnONipの多結晶を、石英封管中で合成することに成功した。また、それらの基礎物性として磁化率、電気抵抗率の測定を行い、4-5K付近で超伝導が出現することを確認した。Lnサイトに様々な希土類元素を導入しても、この超伝導転移温度はほとんど変化しない。このことは、本系の超伝導発現には、銅酸化物高温超伝導体と同様に、MPからなる2次元伝導面が深く関係しており、また層間方向には絶縁層であるLnO面をはさんだジョセブソン結合が生じていることを示唆している。常伝導状態下での電気抵抗率は温度の2乗に比例しており、本系では電子間相互作用が強く働いており、常伝導状態がフェルミ液体的な描像で理解できることを示唆している。本系の類似物質系LaOFeAsの0サイトにFを化学的に置換すると、約26Kで超伝導が発現することが最近になって明らかにされた。今後は、PサイトをAs、Sbなどにした系も対象として、F置換効果なども行い、新規超伝導の探索と、様々な物性測定を通して、本系での超伝導発現機構の解明を行う。
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