研究概要 |
山中は, FeOCl型層状構造を有するα-TiNClへのインターカレーションについて調べ,アルカリ金属および有機塩基のピリジンのインターカレーションに成功した。それぞれ,16 Kおよび8.3 Kの臨界温度を有する新規超伝導体となることを明らかにした。X線Rietveld構造解析により,インターカレーションにともなう構造の変化についても詳細に調べた。 藤は, 2007年初頭に発見した, Tc=11K級の新しい擬1次元構造を持つ超伝導体LaSi5の超伝導特性について表面インピーダンスを用いて調べた。上部臨界磁場Hc2約5T程度であり,GLコピ-レンス長は約105Åであることがわかった。また,電子構造についてもLa-NMRよりLa-NQR周波数は約1MHzであり,非対称パラメーターが0.5であることから, Laサイトの局所対称性が低いことを明らかにし,X線構造解析などの結果を再現した。 浴野は,層状窒化物超伝導体α型KxTiNC1のSTM測定を行い,温度5Kにおいて劈開表面の原子配列を観測することに初めて成功した。観測された原子斑点は金属Ti原子である可能性が高いが,原子の種類を同定するために詳しく調べている。また,高温超伝導体の擬ギャップトンネルスペクトルを解析し,これが層状構造に起因した電荷密度波による半導体ギャップである可能性を指摘した。 犬丸は, PLD法により合成したReNx窒化物薄膜の超伝導特性を調べ, ReN_xの窒素含有量がx = 0.17付近で六方晶から立方晶へ変化し,超伝導転移温度も窒素が増加するに従い1.6 Kから4.8 Kまで上昇することを見出した.さらに,高圧セル中で窒素を発生させる新しい方法を用い,六方晶MONを高圧下で合成した.この試料は量論組成と高い結晶性を有し,その結果14Kと高い超伝導転移温度を示した.
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