研究課題/領域番号 |
19014021
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
水木 純一郎 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 上級研究主席 (90354977)
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研究分担者 |
石井 賢司 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40343933)
福田 竜生 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (80354984)
遠藤 康夫 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 客員研究員 (00013483)
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キーワード | 強相関電子系 / 酸化物超伝導体 / X線非弾性散乱 / ペロブスカイト酸化物 / 放射光X線 / 巨大磁気抵抗効果 |
研究概要 |
異常金属物質の代表である遷移金属酸化物は、高温超伝導や超巨大磁気抵抗効果、多重強秩序性など多彩な物性、機能を示し、これらの物性発現機構を解明し制御することを目的として、共鳴非弾性X線散乱(RIXS)による電子励起状態の観測によって電子相関に関する詳細な情報を解析した。実験は、高温超伝導発現に磁性がどのように関与しているかを明らかにするために、Cuを磁性不純物であるNiに置換したLa_2Cu_<1-y>Ni_yO_4を対象とし、Niの周りの電子状態を選択的に解析することに成功した。今回の結果からNiと周りの酸素に存在するホールとが束縛状態を形成することが明らかになり、磁性不純物としてよりもむしろ電子状態に大きな影響を与えていることがはっきりした。これは、RIXSが不純物元素を特定した電子状態の研究に有効な分光手法であることを明らかにしたこと、さらに超伝導発現にかかわる不純物電子状態を明らかにしたことに章義がある。本研究ではさらにスピンや軌道の自由度が複雑に絡み合った結果、多彩な秩序状態を示すt_<2g>電子系遷移金属酸化物として知られるYVO3のスピンや軌道の秩序状態に依存した電荷励起状態をエネルギー、運動量空間で実験的に観測することに成功した。これは、電子の持つ多重自由度が関係した秩序状態によって電子状態も異なることを意味しており、理論的な解析を進めることにより電子間に働く相関の詳細を定量的に議論することが可能となる。強相関電子系の物性・機能発現の解明とその制御につながる成果が得られたといえる。
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