原始惑星系円盤のガスの力学的性質、そして、円盤風の駆動機構を調べるため、3次元局所磁気流体シミュレーションコードを構築し、計算を開始した。この計算コードでは、円盤の差動回転を考慮するため、円盤の動径方向にはずれを考慮した周期境界条件を、また鉛直方向には円盤風の流れ出しを安定に解くため、流れ出し境界を採用している。現在、等温近似かつ理想磁気流体近似のシミュレーションを、初期の鉛直方向の磁場強度を色々と変えて行っている。シミュレーションの結果、円盤の表面に近いところで磁気回転不安定性が効果的に働き、磁場の増幅し磁気乱流が発達することが分かった。磁場エネルギーの増幅率は、異なった磁場強度の下でも、初期磁場エネルギーの1000倍程度となるという結果が得られた。さらに、磁気乱流圧により円盤表面付近のガスが外に押し出され、円盤風が駆動された。この円盤風駆動は、おおよそ磁気圧とガス圧が釣り合う付近で開始される。このため、初期磁場強度が強くなればなるほど、より円盤の赤道面近くから円盤風が吹き出すことになる。円盤風の質量流速は、磁場のエネルギーにほぼ比例-すなわち、円盤表面部の磁気乱流強度と円盤風流速は、初期の鉛直方向の磁場強度の自乗に比例-するという結果が得られた。ここまでの結果を、2008年3月に開催された本特定領域の研究会で報告した。
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