研究概要 |
1.高速回転超音波スピンドルモータの耐久性の向上を図るため,摩耗の低減をいくつかの方法で検討した.多孔性炭素系セラミックス製回転軸に潤滑処理を施すことによって摩耗の低減効果が得られたが,目標時間には達しなかった.また,摩耗に個体差が生じ,この原因の特定が課題である.PTFE系樹脂製の回転軸は剛性が弱く,ステータ振動子から受ける横予圧によって変形が生じ,回転が妨げられた.しかし,摩耗が非常に少ないことから,変形を防ぐことによって特性を改善できると思われる. 2.非鉛であるニオブ酸リチウムを用いた薄型超音波モータの特性を検討した.結晶の異方性を利用して矩形状で縦振動と曲げ振動を結合させる構成を考案し,その特性を明らかにした.また,斜対称形と比較して支持および予圧方法が容易になった.更に縦振動と曲げ振動の多重モード振動子が破壊に至る条件を明らかにした. 3.二つの円環状ステータを用いてテーパー付きの回転軸を長手方向に挟む,ベアリングレス構成を実現した.回転が不安定であったが,5,000rpm程度の回転が得られた.ベアリングを省くことでより薄型構成が可能である. 4.予圧用バネを内蔵したL字形超音波アクチュエータを積層圧電アクチュエータによっての予圧制御することで,速い立ち上がりで高速回転が得られることを実証した.立ち上がり時は予圧を大きくし,高速回転時は予圧を減少させることで,摩擦滑りを減らすことで摩耗の低減が期待できる. 5.円盤型ジャイロモーメントを検討した.位相差をもつ2つの駆動信号によって回転方向を決定することができた.
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