半導体微細加工技術および圧電基板との接合技術、圧電薄膜堆積技術などを駆使し、プローブ高密度記録メモリに利用する1.5cm角サイズの他自由度マイクロXYZステージを作製・評価した。このステージでは、多数のマイクロアクチュエータを集積化し、精密で多自由度の動きを実現した。最終年度である本年度は、ムーニー型の変位拡大機構を集積化したシリコン・PZTのハイブリット構造をもつマイクロステージの作製技術をより発展させ、より大きな変位を得ることができるステージを試作した。積層型アクチュエータ素子の作製技術を改良して、より大きな力と変位が得られた。また、変位拡大機構の最適化を図った。具体的には、反応性イオンエッチングを用いたシリコンの微細加工技術により柔らかいばねをもつステージ構造を作製し、精密な位置決め技術により別に作製した積層PZTアクチュエータを組み込んだ。精密な位置決めはPZTアクチュエータを位置決めするテンプレートを用い、XYZステージ構造に転写した。また、アクチュエータとPZTアクチュエータを部分的に金属の電界メッキにより接合する技術を開発した。この部分メッキを行うため、XYZステージに直接レジストを塗布して、フォトリソグラフィーにより金属パターンをパターニングして、接合部分にのみ電界メッキができるプロセスとした。作製したマイクロステージは70Vの印加電圧でおよそ80μmの変位が得られた。フィードバック制御によりナノメートルの位置精度を達成できるように容量型の変位センサを集積化した。作製したマイクロステージのダイナミクスを評価および解析した。その結果、約500Hz程度までの高速駆動が可能であることがわかった。
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