研究課題
低電圧で大きな回転角が得られる静電駆動型マイクロミラーの性能向上として、温度特性の安定化と高速化が目的である。本研究が狙う性能は複数ある。目的性能に応じて製作する構造を切り分け、本質的議論が進めやすいようにした。平成20年度は以下の4項目について結果を得た。1. アモルファスSiを結晶化して得る多結晶Siから、大きな引張応力を得る条件を求めた。電気的接続がアクチュエータに必須となるため、今年度はドーピング法を合わせて検討した。純粋なa-Si成膜後にリンをイオン注入し結晶化した。目減りはしたが300-400MPaの引張応力を得た。2. 薄膜トーションバー製作と整合性を取りつつ縦型櫛歯アクチュエータ製作を実証した。昨年度の、アモルファスSi結晶化をプロセス中で出来るだけ早くする知見を利用した。SiO_2膜ディレイドマスク、プラズマエッチングの等方・異方性利用、UVキュアしたレジスト膜を利用したSi薄膜の側壁保護、の工夫により、引張応力を持つ多結晶Siのトーションバーを持つマイクロミラーが製作できることを見出した。3. マイクロミラーの低電圧特性(12Vで7.7°)と110℃まで過熱し回転角-電圧特性が安定(温度依存性1.7xlo^<-3°>/℃)していることを確認した。バネ定数がわずかに低くなる温度特性は、値も含めて結晶Siで製作されたミラーと傾向が同じである。薄膜と基板Siの熱膨張係数がほぼ同じになったからである。4. 展開として、マイクロミラーが微弱な電圧とエネルギで駆動できる性質を利用し、電磁誘導による非接触エネルギ伝送によるミラー駆動実験を行った。電磁石部で19mTの小さな磁場で16mm離れて励起し、1°以上のミラー回転を得た。生体内部へのデバイスの駆動として魅力がある。
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IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics 15(掲載確定)
Japanese Journal of Applied Physics Vol.48, No.4
ページ: 04C191
http://ttiweb.toyota-ti.ac.jp/1432/pub_teacher_show.PhP?t=166