研究課題/領域番号 |
19016007
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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研究分担者 |
工藤 寛之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 講師 (70329118)
斉藤 浩一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (00205668)
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (10516298)
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キーワード | 有機エンジン / 過酸化水素 / カタラーゼ / 化学ポンプ / 小型モーター / ケミカル・ハンド / グルコース / 遊泳マシン |
研究概要 |
20年度には、19年度に開発した「有機エンジン」をさらに発展させ、2つの化学物質を認識し、異なる運動を行う「有機エンジン」を構築した。つまり、過酸化水素を認識するカタラーゼ酵素(CAT)のほか、グルコースを認識するグルコース酸化酵素(GOD)を同時に固定化する。2つの酵素を同時に固定化した有機エンジンにて、過酸化水素を認識しそのエネルギーで加圧を行い、グルコースを認識して減圧を行う。この機能を活かして、「ケミカル・ハンド」を構築した。 ケミカル・ハンドでは、CATとGODを固定化した有機エンジンを用いて、ハンドでの物体の把持と開放を行う。つまり微小な樹脂製ハンドの内部に有機エンジンを組み込み、血液のように過酸化水素とグルコースの2種の化学成分を独立して送液することで、膨張と収縮を行い、将来の有機的な義手につながる、化学エネルギーを使って物体の把持と開放ができる「有機ハンド」を構築した。 さらに有機エンジンを利用した知能化マシンとして「遊泳マシン」を開発した。構造的には、大腸菌での桿菌のような円筒形状で、中空の酵素固定化層を透過制限膜にて包み、エネルギーの解放端を円筒の一端頂部に設けた。つまり、カタラーゼの固定化層を中空の円筒状とし、その外部を反応生成物である酸素の透過を制限する膜で覆うことで、酸素ガスが内部に貯まる。そして、膜の一端に気泡を放出する微細な解放孔を設けることで、マシンの推進力(運動エネルギー)に変換する。遊泳マシンは単に運動するだけでなく、その方向を制御することで、有機のような魅力的な運動機能を実現することができた。
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