(1)薄膜ステータコイルを用いた超音波マイクロモータの試作と駆動実験 (2)薄膜ステータコイルを用いた超音波マイクロモータの駆動原理の解明と動作シミュレーション (3)薄膜ステータコイルを用いた超音波マイクロモータの設計パラメータの最適化 上記3課題については、ステンレス製フォイル(0.14mmまでのものが入手可能)を用いて薄膜ステータコイルを試作し、駆動特性の評価を行った結果、従来のワイヤーコイル型と同等の駆動性能を得ることができたが、薄膜であるが故の軸方向の剛性が不足し、そのため軸長を長くしなければならず、小型マイクロ化の課題が残っている。駆動原理の解明のため、非点収差法を用いて、数ミクロン範囲の微少領域の多点振動計測を行った結果、上記に起因して軸ぶれが数ミクロン以上と大きく現象的に駆動原理を解明することは困難であった。代わりに駆動長音音波振幅とステータのワイヤ直径ないしはフォイルの厚みを考慮した運動法定式化に成功し、これを用いてシミュレーションした結果、薄膜型モータでは、超音波振幅が厚みを超えた場合の新しい駆動原理が解明された。これを用いることにより、薄膜ステータ型の設計パラメータを整理した。 (4)薄膜ステータコイルとPZT一体化の基礎試作 超音波発振子をマイクロ化してステータに直結させ、従来の導波路(約1m)を3mmまで短縮し、ほぼコイルとPZTの一体化構造に成功した。このモータも回転はするが、上記(1)に述べたように、軸方向の剛性不足のため、回転がやや不確定な状況にある。更に薄膜にPZTを蒸着したが、その堆積層が薄過ぎるため十分な超音波が発生できないため、駆動源として不適当であることが判明した。その結果を受けて、PZTソリッドから直接ステータを削りだす方法の基礎を実験的に明らかにした。
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