研究概要 |
高温で高速かつ大変形が可能である新アクチュエータ材料の開発のため、マルテンサイト変態温度の高い高温形状記憶合金とキュリー温度の高い磁性材料の組み合わせに着目した。高温形状記憶合金であればその双晶変形温度範囲が広く、高速かつ大変形が発生可能である。これに磁性材料を貼り合わせることで、磁場で磁性材料に力が発生し、高温形状記憶合金の双晶変形を誘起するアクチュエータとなると考えた。このため本年は、マルテンサイト変態温度880Kの高温形状記憶合金TiAuとキュリー温度1388KのCoを選び、複合材料作製条件および使用温度範囲を検討した。このためTiAuとCoを積層化し、ホットプレスにより拡散接合させ、その界面反応や反応層の生成と成長をSEM-EDXにより解析した。その結果、ホットプレス温度1073Kから1273Kでは拡散接合でき、複合材料を作製できた。しかし、その界面にC11b構造Ti(Au,Co)_2およびC36構造(Ti, Au)Co_2の二種の金属間化合物が形成した。また、CoがTiAuに拡散し、温度が高いほど拡散層の厚さが増加していた。つぎにこれらを773Kから1273Kで時効処理し、拡散層の成長を調べた。その結果、773Kでは拡散層は成長せず、773K以下であれば利用可能であると言える。また、拡散層の成長の見かけの活性化エネルギーQを300kJ/mol、見かけの拡散定数Doを0.58m^2/s と同定できた。生成層は脆く機械的性質に悪影響を及ぼし、また、CoがTiAuに固溶するとマルテンサイト変態温度を低下させるため、それらの抑制が必要である。このため、求めたQとDoから生成層の抑制条件を検討した結果、1073Kで1時間のホットプレスにより反応層を数μmと十分に抑制できることが予測でき、実際に抑制することに成功した
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