研究課題/領域番号 |
19016022
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
清原 健司 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 主任研究員 (30344188)
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研究分担者 |
杉野 卓司 独立行政法人 産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 主任研究員 (50357266)
安積 欣志 独立行政法人 産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 研究グループ長 (10184136)
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キーワード | 高分子アクチュエータ / 分子シミュレーション / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 電機化学 |
研究概要 |
高性能な高分子アクチュエータの開発には、発生応力の向上が不可欠であるが、これを直接測定する方法は無く、また応力発生の起源も明らかになっていない。これらの問題を解決する取り組みの中で本年度は特に、「1.弾性体論を用いた電場印加の際の高分子アクチュエータ内部の発生応力の解析法の確立」と、「2.モンテカルロ・シミュレーションを用いた高分子内部のイオンの構造と発生応力の関係の解明」について成果を得た。 1. 弾性体論を用いて高分子アクチュエータの動作と発生応力との関係を定式化し、発生応力を解析する方法を確立した。次にこの解析法に適した構造を持つ高分子アクチュエータを作製し、動作測定を行い、発生応力を見積もった。また、高分子アクチュエータの正極側と負極側のそれぞれの伸縮率を独立に見積り、正極側が収縮し、負極側が膨潤することを明らかにした。 2. 分子レベルで応力発生の機構を明らかにするために、昨年度に引き続きモンテカルロ・シミュレーションを行った。本年度は特に、誘電率の違いとイオンが入り込む細孔の大きさのパラメータの変化に伴う発生応力の変化を中心に研究を進めた。誘電率が小さくなると、イオン間の相互作用の相関が強くなり、電極近傍のイオンの構造と発生応力が、誘電率が大きい場合とは質的に異なることがわかった。 理論的解析に基づいた高分子アクチュエータの開発かこれまでほとんどなされてあらず、本研究は高分子アクチュエータの理論的設計に向けた取り組みとして重要である。特に、上記1の成果は素子の構造を設計する上で、2の成果は材料を設計する上でそれぞれ重要な知見を与えるものであり、今後の高分子アクチュエータの開発において欠かせないものである。
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