研究概要 |
本研究では、ギガパスカルの超高圧を利用して、5nm程度の粒子径かつ相対密度90%以上の酸化物ナノ粒子バルク体を作製し、さらに超高圧印加により酸化物ナノ粒子界面のイオン伝導挙動を制御することを目的としている。本年度はアクセプター添加セリアを対象とした。無添加セリアおよびPr,Sm添加セリアナノ粒子の作製には、金属硝酸塩水溶液(0.08M)およびヘキサメチレンテトラミン(HMTA)水溶液(0.5M)を用いた。所要反応時間経過後、純水での洗浄、遠心分離を5回繰り返し、100℃での乾燥が施された。粒子径は熱処理温度(100〜700℃)により制御された。この方法により無添加及びPr,Sm添加セリアにおいて、粒径約2nmの粒子が作製された。600℃、10時間の熱処理温後、無添加セリアナノ粒子の粒径は約15nmとなるが、アクセプター添加試料は粒成長しにくい傾向を示した。さらに、セリアナノ粒子では粒径の減少に伴い格子定数が増大する現象が見られた。400℃、1O時間の熱処理が施された6mol% Sm添加セリアナノ粒子圧粉体に対して6GPaの高圧下での電気伝導度測定が行われた。測定後に試料は相対密度93%の緻密体となっていた。また、X線回折の半値幅から見積もられた粒径は高圧測定前の6.0nmに対して測定後は7.4nmであり緻密化後も粒径はほぼ保たれていた。このSm添加セリアナノ粒子は300℃、6GPaにおいて3×10^<-3>S/cmと、バルク体の伝導度と比較して1桁以上大きな値を示したが、活性化エネルギーやMDシミュレーションからは粒界近傍のプロトン伝導の可能性が示唆された。
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