固体酸化物形燃料電池(SOFC)の中で、最も代表的な固体電解質の一つであるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とニッケル電極(Ni)との接合界面を計算ターゲットとし、燃料である水素がYSZ/Ni界面と接している三相界面を第一原理計算アプローチによりとらえ、燃料酸化反応の局所反応場の理解をミクロスコピックな立場から深めることを目的としているのが本研究課題である。平成19年度では以下に述べる3つの課題を取り扱った。 1. Ni(111)表面上における水素分子(燃料)の吸着・解離過程の検討:800Kの高温においては、水素分子の解離吸着がすみやかに起こり、解離した水素原子のサイト間移動も比較的容易に起こるので、三相界面への燃料到達の可能性の高いことを見出した。 2. YSZ/Ni二相界面における酸素伝導度の計算:キネティックモンテカルロ(KMC)プログラムを作成し、界面近傍における酸素移動障壁の計算データをもとに二相界面での酸素伝導度を検討した。 3. Ni/YSZ(超薄膜)/Niの電子伝導性:非平衡電子状態計算により、YSZ(超薄膜)の電子伝導性が酸素空孔の位置によって大きく変動することを見出した
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