研究概要 |
本研究は,金属ナノ粒子と混合導電性酸化物間の特異な相互作用を解明、制御して高性能電極を開発し,ナノイオニクスの発展に貢献することを目的とする。本年度は,Niナノ粒子とサマリアドープセリア(SDC)の相互作用を利用して,低温でも高活性かつ高耐久性の可逆SOFC電極材料を一段階で開発することを目的に,噴霧プラズマ法(Solution-spraying plasma,SSP)でNi-SDC複合粒子を合成した。また,対極側の混合導電性酸化物酸素極の可逆作動特性も解析した。 1)噴霧プラズマ法によるNi-SDC複合粒子の合成Ce,SmおよびNiの硝酸塩水溶液を(CeO_2)_<0.8>(SmO_<1.5>)_<0.2>-17vol.%Niの組成比となるように混合し,超音波噴霧器からキャリアガスで大気圧プラズマ炎に導入して熱分解した。組成と粒径がよく制御したSDC固溶体とNiOの複合粒子がSSP法により一段階で簡便に合成でぎることがわかった。この粒子を水素中で還元すると,Ni粒子がSDC担体にアンカーされることにより凝集が抑制され,均一に分散できることが明確に示された。このような特異な触媒構造は,原料水溶液が均一に混合した微細液滴のプラズマ炎による瞬間熱分解と,NiとSDC間の強い相互作用によるものと考えられる。 2)混合導電性酸化物酸素極の可逆作動特性の解析La_<0.6>Sr_<0.4>Co_<0.2>Fe_<0.8>O_3(LSCF)+SDC/LSCF二重層構造電極を酸素還元カソードとして作動ざせるよりも,酸素発生アノードとして作動させる方が高性能であることを見出した。酸素発生極として作用すると,電極界面付近のp[O_2]は増加する。これにより電極界面のp型導電率が上昇し,触媒利用率(有効反応面積)が増加するためであることを明らかにした。
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