本研究では全固体リチウム電池の高性能化に向けて、電極と固体電解質の界面での抵抗を飛躍的に低減するための界面制御法に関する研究を行った。界面での抵抗(電荷移動抵抗)の熱力学的な解析を行い、界面抵抗を支配する二つの因子(全指数項と活性化エネルギー)に関する知見を得た。特に、界面での抵抗を低減するためには両者の反応活性点を増大させることの重要性を明らかにした。この反応活性点が、特定の元素を有する電極活物質上に固体電解質を形成して接合した場合に飛躍的に低減する現象を見いだした。例えば、電極活物質にLiCo02を用い、固体電解質にリン酸リチウムオキシナイトライドガラス電解質を用いると、その界面での抵抗値は従来の液体電解質を用いた場合の5倍程度にまで低減できる。一方、LiMn204を電極に用いると、抵抗値はLiCo02を用いた場合の20倍程度大きな値となるが、この表面にコバルトリッチ層を形成すると界面抵抗をLiCo02と同程度まで低減できる。
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