研究概要 |
ペロブスカイト型LaTiO_2Nは、NH_3流量などの条件を変えO/N比を増加させると試料の光学バンドギャップが大きくなり、これとは独立にTi/La比が大きくなると試料の拡散反射率(明るさ)は減少することが報告されている。この反射率の減少は、電気的中性を保つために黒色を呈する低原子価のTiが生成するためではないかと考えた。そこでLa^<3+>の一部をSr^<2+>に置き換えることにより(La,Sr)TiO_2N系を合成した。本研究では、O/N比やTi/La比あるいはSr/La比などの非化学量論性が光学特性に及ぼす影響を、X線光電子分光法を使用し構成元素の電子状態の観点から検討した。酸窒化物試料は錯体重合法とアンモニア窒化法を使用して行った。 形式電荷から考えればLa^<3+>Ti^<4+>O_2^<2->N^<3->となり、この酸窒化物においてO/N比が増加あるいはTi/La比が増加するとTiが還元されるのではないかと思われた。しかし、LaTiO_2Nにおいて、O/N比を大きくするとTiはより高原子価になるが、Ti/La比を変化させても、Laの一部をSrで置換しても、Tiの電子状態は変化しないことが明らかになった。Laの一部をSrで置換すると拡散反射率の向上が見られるが、この原因はSr置換に伴い意図しないTi/(La+Sr)比の減少が生じ、結果としてTi/La比を減少させた場合と同様の効果が出たのではないかと考えられた。
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