研究概要 |
我々が開発した完全オリジナルな「全電子混合基底法」は、数値局在基底と平面波基底の混合基底を用いることにより、芯電子状態から自由電子状態までのあらゆる電子状態を精度良く記述できる優れた第一原理計算手法である。我々は本研究においてこの計算手法をさらに拡張して、密度汎関数理論の枠組みを越えて、グリーン関数(G)とRPA遮蔽クーロン相互作用(W)を用いた多体摂動論に基づくGW近似により、GaAsクラスターおよび結晶の準粒子エネルギー・スペクトルの全電子計算を行った(Physical Review B 76,075325;1-9(2007))。また、GW近似から1電子グリーン関数を決定し、これに基づいてさらにT-matrix理論により梯子図形の無限次までの和を取り入れ、2電子間のクーロン相互作用による電子間の多重散乱効果を取り扱い、2電子グリーン関数を求めるプログラムを開発し、原子・分子のダブルイオン化エネルギー・スペクトル、2電子波動関数に続いて、Augerスペクトルを精密に決定することに成功した(Phys.Rev.B77,035.132;1-7(2007))。さらに、時間依存密度汎関数理論による全電子分子動力学シミュレーションにより、π共役デンドリマー(SSSlPc)の光捕集機能のダイナミックスを調べることにも成功した(J.Phys.Condensed Matter 19,365242;1-8(2007))。
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