研究課題
我々は計算機マテリアルデザイングループと緊密な連携をとりながら、スピントロニクス候補材料の物性について、ラマン散乱分光などの立場から実験的に調べ理論予測の検証を行うことを目標としている。今年度は、将来の究極的省エネ型電子素子の候補の一つとされる室温強磁性半導体材料開発をめざし、ワイドギャップ半導体ベース希薄磁性半導体の局所構造、マルチフェロイックス材料の秩序発現機構とフォノン物性を調べた。希薄磁性半導体材料では、CoドープZnO、TiO_2ナノ結晶を溶液合成法で作製した。ZnOでは熱処理温度を変化させて作製した全ての試料でウルツ鉱型結晶が作製されていること、また添加したCoは確かにZnO母体格子中に取り込まれている事が確認された。TiO_2ナノでは、溶液のpH調整により、高品質のルチル型とアナターゼ型結晶を作り分けることができた。マルチフェロイック材料では、まずBiFeO_3について薄膜、バルク単結晶及び多結晶について詳細にフォノンスペクトルを求めた。その結果、フォノンモードが同定され、スピンーフォノン結合信号を観察した。また積層膜構造の物性も調べた。次に特徴的な磁気構造をもつYMnO_3とYbMnO_3を評価した。前者ではバルク結晶でネール点80K付近、ヘテロエピタキシャル膜で130Kで磁気秩序形成する様子が観察され、膜構造でネール点が上昇する可能性が見つかった。後者でも磁気秩序形成が観察され、MnとYbスピン間の相互作用が考察された。
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