LDA+U、LDA+DMFTによる強相関系のバンド計算や格子模型を用いた理論解析において、ハバードUや交換相互作用Jは重要なパラメタである。これらの値を見積もる方法として制限LDAがしばしば用いられる。しかしながらd電子の多い繊維金属など、Uとして大きすぎる値が得られることがあり、定量性、予言能力に困難を抱えている。この原因として、UやJの見積もりの際に排除すべき局在電子間の遮蔽効果の取り扱いに任意性があることが挙げられる。この問題を解消する方法として制限RPA法が考案されている。制限RPA法では、局在軌道からなるバンド間の遮蔽効果を排除して分極率を求め、ここから基底によらない遮蔽相互作用を定義し、その局在軌道に関する行列要素としてUやJを求める。そのため、異なるサイト間の相互作用や軌道の添字に関する非対角項を容易に計算することができる。われわれは、局在軌道として最局在ワニエ関数を用いる方法を提案し、3d遷移金属に対して適用した。また、ワニエ関数の任意性を確かめるため、最局在ワニエ軌道を出発点として、ユニタリ変換によりUが最大にするワニエ関数と最局在ワニエ関数は極めて近いことがわかった。以上の結果から最局在ワニエ関数が強相関系の有効模型を構築するのに適した基底を与えることがわかった。 この他に、Hedinの方程式を相互作用がスピンに依存する系に拡張し、スピン依存GW近似を提案した
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